星の音に、そっと背中を押されるようにして、
ミサキ・エトワールはゆっくりと立ち上がりました。

心と肌に寄り添うレシピを届けるために――
彼女が向かったのは、王宮の奥深くにひっそりと隠された、
誰にも知られていない秘密の温室。

そこには、北の大地から運ばれたクマザサ、
しっとりと潤いを抱くヒアルロン酸、
そして、宝石のように香り立つマスカットが、静かに息づいていました。

ミサキ・エトワールは、素材ひとつひとつに語りかけるように、
そっとレシピを練りはじめます。
肌が、ほっと息をつけるように。心が、ふわりとほどけるように。

そこへ彼女が加えたのは、静けさをくれる成分――GABA。
まるで夜空の毛布のように、
心をやさしく包み込む力を持つ、特別な存在です。

ミサキ・エトワールは、静かに微笑んでこう言いました。

「誰にも気をつかわず、“わたし”に戻れる時間を届けたいの。
そのひと口が、心の奥にそっと、やさしさを灯すように。」

そう語る彼女の瞳は、星明かりよりも澄んでいました。

そして、いくつもの夜を越えて、
ミサキ・エトワールのレシピは、ゆっくりと、かたちになっていくのです――。

次回｜第3話「そして、“わたし”への一杯ができた」
誰かのためじゃなく、“わたし”のために。
すべての夜を生きるあなたに贈る、ひとしずくの魔法。


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